劇場版 PSYCHO-PASS サイコパスを見て感想・考察 〜国家と法について考える〜

 

PSYCHO-PASS サイコパスSSが公開され、サイコパスブームがまたやってきました!

そこで今回は2015年1月9日に公開された劇場版 PSYCHO-PASSを通して国家について考えたいです。

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※ネタバレするのでまだ、映画を見ていない人は自己責任で!

 

 

 

PSYCHO-PASS サイコパスの基本・世界観

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                     (PSYCHO-PASSHPより)

舞台は西暦2112年の日本です。

人間の心理状態を数値化する機能を持つ「シビュラシステム」が導入・管理された社会で人々はこの値を通称「PSYCHO-PASSサイコパス)」と呼び、有害なストレスから解放された「理想的な人生」を送るため、日々生活をしています。

 

このように監視されてた社会で発生する犯罪に対し、警察組織「公安局」の監視官たちは、携帯型心理診断システム「ドミネーター」を用いて、数値が不安定な潜在犯たちに裁き与え、治安維持活動を実施する世界観です。

 

PROPLICA ドミネーター

PROPLICA ドミネーター

 

 

その数値判定を行うのが「シビュラシステム」ですが、「シビュラシステム」自体が問題のあるシステムですが現状ある社会を維持する為には絶対的に必要であるシステムされる、かなり面白い作品です。

 

特に主人公の公安局刑事課一係、常守朱(つねもりあかね)監視官の「シビュラシステム」に対する葛藤が面白い作品です。

 

〜映画のあらすじ〜

映画はフジテレビ系アニメ枠「ノイタミナ」で2012年に第1期、2014年に第2期も放送されたアニメの延長線上に話は進められます。 

 

鹿矛囲事件から1年半後となる2116年。
シビュラシステムはついに海外に輸出され、
初の試験導入先となったSEAUnの首都・シャンバラフロートはつかの間の平和を得る。
一方日本では、東京湾から武装テロ集団が密入国を果たしていた。
情報屋から一報を受けた常守朱監視官は、一係と現場へ急行。
激しい銃撃戦の末、テロリストを制圧する。
集団が使用していたシューティンググラスからは、
日本の警備システムを知り尽くした人間がその開発に関わっていると推測された。
霜月美佳監視官は禾生壌宗局長の命令を受け、薬物を用いてのメモリースクープを実行。
異例の捜査で得られた映像には、SEAUnの反政府ゲリラと行動を共にする狡噛慎也の姿があった……。(劇場版 PSYCHO-PASS サイコパスより)

 

 

そんなアニメですが、今回の劇場版ではどちらかと言うと戦闘シーンが多く、深さは薄れた感があったかと思います。と言いながら、最後に「シビュラシステム」と常守朱の討論がとても考え深いものです。

 

 

     ~ネタバレはここから~

シビュラシステムの内政干渉から法のあり方について討議している部分を題材にしたいです。

 

常守朱監視官とハン議長(シビュラシステム)の話し合い

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常森監視官:「他国への内政干渉、本物のハン議長を暗殺を共謀した、これは明確な犯罪行為よ」

 

シビュラシステム:「この国に内政としてよべる制度は実態として存在していません。汚職、差別、民族的宗教的対立、2年前の時点で、すでにSEAUNは連合国家の体裁を喪失していました。」

 

 

シビュラシステムの言葉から分かるようにSEAUNに内政とよべる主体がないことは、映画を見るにSEAUNが反政府組織と紛争状態であることでわかります。

 

 

内政不干渉の原則とは

では内政不干渉の原則で考えると

 

国家は国際法に反しない限り、一定の事項について自由に処理する権利をもち、

逆に他国はその事項に関して干渉してはならない義務と言う、

国家主権から導出される原則となっています。

 

 

以上のように、定義されてる内政不干渉の原則ですが、まずサイコパスの設定では日本以外の国家は非常に不安定な状態になり半鎖国状態な世界観です。

 

このような状況下でそれぞれ国家主体が国家間条約や国際法を正式に結んでいるか不透明です。

 

 

 

と言うことは、まず非常に不安定な国際状況下であり、内政不干渉の原則が実行的に機能されないでしょう。

 

ハン将軍が国家主体かどうか

次にハン将軍が国家主体になり得るのかと言う問題点です。

ハン将軍(実働ニコラス大佐)の軍閥との利害一致でシビュラシステムが導入されています。

 

社会学マックス・ウェーバーによると、国家は二面あるとしています。

  1. 警察や軍隊などの暴力手段を合法的に独占していること。
  2. 官僚や議員など統治組織・構成されている政治的共同体であるということ。

ただし、「正当化された暴力」を独占し、法に従わせることを確実なものとする実行能力を持たなければならない 

 

マックス・ウェーバーの「正当化された暴力」を独占しているかと言う部分で、ハン議長が実行的に国家を支配しているかはとても不透明な部分があると思います。

 

 

ただし、 ハン将軍は国民総意には至っていないが、実質的に国家の運営主体となり活動していることから、独裁主義としては問題ないでしょう!

 

実際この手のことは、現実の国際社会でも行われていることです。武器供与、軍事訓練提供による利権での見返り・・・。

 

 

結論

以上のことから、シビュラシステムが内政が保たれてないから、内政干渉にならないとしている理論には少し問題があるかと思います。しかし、このシステムを単なる計測判断システムとしてニコラス大佐が建前上、SEAUNの安定化に必要不可欠だから導入している以上、問題ないと思います。

 

ただ、常森監視官としては国民が必要として、導入するシステムだからこそ、守る意味が生まれると言う国民主権的意見からシビュラの判断を否定的に考えているのではないでしょうか。

 

まとめ

今回のこの映画は戦闘シーンがとてもしっかりいます。またサイコパスらしく哲学的要素もしっかり入っており、まるで現実の国際社会の状況を表していると考えてしまうとこが沢山ありました。

ぜひ、興味が湧きましたら、見てみてください!