『ネタバレあり』PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1「罪と罰」感想・考察

アニメサイコパスの続編、PSYCHO-PASS サイコパス SS Case.1「罪と罰」の感想を今回話してみたいと思います。

 

完全にネタバレになるところがありますので、まだ見ていない人は気を付けて下さい!

f:id:cook2sei:20190127013032j:plain



 

あらすじ

2117年冬、公安局ビルに一台の暴走車両が突入する事件が発生。その運転手は青森にある潜在犯隔離施設 〈サンクチュアリ〉の心理カウンセラー・夜坂泉だった。監視官の霜月美佳は、執行官・宜野座伸元らとともに夜坂送還のため青森へ向かう。そこで待っていたのは、〈偽りの楽園〉だった。 (原作:サイコパス製作委員会 より)

f:id:cook2sei:20190127013118p:plain

今回の作品はアニメ第1期、第2期、劇場版の延長線上にある話となっています。

 

サイコパスをアニメから見ていないとキャラクターの心理的成長などは理解しずらいと思いますが、それ以上にこの社会を維持運営しているシビュラシステムの思想がなかなか理解し難いともいます。

 

サイコパスで重要なシステムが人間の精神状況を数値化し犯罪を起こす前に潜在犯かどうかを数値的判定を行うのが「シビュラシステム」です。このシステムがあることにより絶対的な安定がある社会であることをまず頭において下さい。ただ、システムである以上エラーは生じます。このエラーに葛藤しながら、主人公たちは正義を完うします。

 

サブタイトルのSinners of the System Case.1「罪と罰」ですが、Sinners of the System とは犯罪者の成り立ちという意味ではないでしょうか。

ドストエフスキーの「罪と罰」からサブタイトルが来ていると思いますが、犯罪に手を染める成り立ち、その後罪に対しどのように更生するかと言う部分をシステム的に考えているのではないかと思います。

 

ただ単に数値化し刑罰を決めるシステムが正しいのかと言う問いを投げかけるのではないかと思います。

 

なので2月、3月とCase.2・3が公開されますが、潜在犯に焦点を当てた物語が今回の流れであると思います。


『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System』 予告編

 

~ネタバレ注意(感想・考察)~

 

主人公たちの成長

f:id:cook2sei:20190127013613j:plain

霜月監視官(左)

今回のメインになった霜月美佳監視官ですが、前作の劇場版ではシビュラシステムが作り出す正義に従順な駒としての存在感があったと思います。しかし、本作より、自らの正義感を表に出すようになりました。ただ、現状の社会はこの正義によって成り立っている事から、シビュラの正義に従いますが、それでも抗おうとしている姿はとても印象的でした。

 

宜野座執行官(右)

また、宜野座執行官も大人になったなと思います。監視官時代は自己保身とシステム維持のみでしたが、本作では若い霜月監視官を諭すようにお父さん的なポジションになった感がすごくありました。まさにアニメ2期で殉職した征陸智己執行官のポジションになったと思います。

 

 

恐怖による同調圧力の統治

今回のポイントとなる同調圧力です。

潜在犯を更正する施設であるサンクチュアリですが、ここの統治システムが、恐怖による統治でした。

 

人間とは決まった方向に向いて行動することに安心感を覚えます。

「みんなと一緒が安心」みたいな空気ってありませんか?

 

第二次大戦の日本やドイツもそうですが、戦況が悪化していても「勝てると言う空気」に誰もが同調し、戦争継続を望みました。望みざる負えなかったのです。

 

誰しも「空気」に流されたのです。これはいじめの問題でも同じかもしれないです。いじめのターゲットにならない為に空気に従う。自分が排除の対象とされないように同調すると言うことではないでしょうか。

 

ただし、この空気というものはとても脆いもであるということが、映画の中では描かれています。最終的には排除対象が運営者たちに変わり、潜在者たちは暴徒と化します。恐怖による統治とはとても脆く、安定しないものであることを描いていたことは一つ面白いところだと思います。

 

 

放射性廃棄物処理

実はサンクチュアリでは潜在犯に放射性廃棄物の処理させていました。本来この施設は潜在犯の更正を目的にしていたのですが、犯罪者に罰として放射性廃棄物の処理をさせていました。

 

このことはシビュラシステムも黙認していたことが最後にわかります。

社会を維持する為には、必要悪もあるとされます。

 

確かに全てがバラ色の社会は決してありません。以下に悪を減らす努力を果すかが健全な社会に繋がると思いますが、社会的に弱者に悪を押し付け、社会を運営する事は本当に正しい事なのでしょうか。

 

 

 

印象に残った言葉「お前の方こそ、なぜ正義を振りかざす」

サイコパスでの正義とはシビュラシステムそのものです。

ただし絶対的正義とはこの世に存在しないものです。正義とは尺度や味方によって極暖に変わるものであり、正しい正義は存在しません。

シビュラシステムの正義が間違いであっても、現状の安定ある社会を維持する為には従うしかありません。正義に対する葛藤が全作通じて語られていることは間違いありません!

 

まとめ

上映時間は1時間と映画としては少ないですが、第1期アニメ風の色濃さが出たとても面白い映画であったと思います。ただ、やっぱり1時間なので、もっと深く語りかけることが出来る部分が浅くなっていることはあると思います。

それでも、シビュラシステムと言うシステムの問題点に従いながら、争い真の正義を見出そうとする主人公たちの活躍は全作に通じて面白いところだと思います。

アニメの第1期、第2期、劇場版と続きの作品なので、ぜひ見ていない人はそれぞれ見た上で、今回の「罪と罰」を見てもらえるとより楽しめるのではないかと思います!